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AUTHOR INTERVIEW

違いを知ると、
世界はもっとおもしろい。

子どもたちは、絵本の中から
自然に英語を見つけていく

— まず、この絵本を作ろうと思われたきっかけを教えてください。

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英語絵本の力を実感したのは、母語としての日本語と第二言語としての英語の発達を保育園や幼稚園で調査していた頃でした。小さいうちから英語に触れることについて、日本語の発達に影響するのではと心配される保護者の方もいらっしゃいますよね。でも、子どもたちが英語に楽しく触れている様子を見ていると、日本語の反復力や語彙力にもよい影響があるということが少しずつ見えてきたんです。日本語でも英語でも、反復力が語彙力につながり、言語の獲得に大切なプロセスであることが分かりました。

調査に行くときには、いつも大きな英語絵本を持っていきました。すると子どもたちは、まず絵にぐっと引き込まれます。絵に夢中になって自分の経験と重ね合わせながら「もう1回読んで!」「これってベアー(bear)でしょ!」なんて目を輝かせて会話が弾むんです。

単語やフレーズをただ暗記させるのではなく、自然に楽しく英語に触れて、自分の意見や感想を言えるようになる。そんな即興的なやり取りやコミュニケーション力を育む教材として、「絵本」は本当に素晴らしいものだと確信したのがきっかけです。

「自分の町」を語るから、
英語が自分ごとになる

— 『My Hometown, Your Hometown』では、日本の町が舞台になっています。なぜ「町」をテーマにされたのでしょうか。

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海外で作られたすばらしい英語絵本は、本当にたくさんあります。ただ、日本の子どもたちが「これは自分たちの生活とつながっている」と感じながら読める英語絵本は、まだそれほど多くありません。ですから今回は、子どもたちにとって身近な「町」をテーマにしてみたいと思いました。

小学校3年生の社会科では、自分たちの住んでいる地域を見たり調べたりして、場所による違いや地域の特色を考える学習がありますよね。私は、その「町を調べて紹介する」という活動を、英語にもつなげられるのではないかと思ったんです。

子どもたちは、自分の好きなものや自分の周りのことになると、急にたくさん話し始めます。犬の絵を見せて "Do you like dogs?" と聞くと、"Yes!" "No!" だけで終わらず、「うちにも犬がいるよ!」「うちの犬は黒いよ!」と話が広がる。自分の経験だからこそ話したい気持ちが溢れ出してくるんですね。

今回の絵本には、東京の日本橋、岡山県、高知県の大豊町という、個性の違う3つの地域が出てきます。制作するときには、それぞれの地域の先生方から、子どもたちが好きな場所や、自慢に思っているもの、ぜひ紹介したい風景などを伺いました。そうした声を聞きながら、一つひとつ物語に入れていきました。

"My"と"Your"に込めた、
ほんとうのコミュニケーション

— タイトルの『My Hometown, Your Hometown』には、どんな思いが込められていますか。

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この絵本で大事にしたかったのは、「自分の町を話す」ことだけではなくて、「相手の町を聞く」ことでもあります。同じクラスの友だちに自分たちの町を紹介しても、相手はもう知っていることが多いかもしれません。でも、違う地域に住んでいる人に伝えると、「へえ!」「行ってみたい!」という新鮮な反応が返ってきます。そこに、本当のコミュニケーションが生まれます。

情報が新鮮であればあるほど、伝えたくなるし、聞きたくもなる。「同じ日本でも、こんなに違うんだ!」と感じることが、子どもたちのわくわくにつながっていくのだと思います。

シリーズの第一号となる今回は、まず日本の3つの地域を取り上げました。これから先は、海外の町も紹介していけたらいいですね。異なる文化や環境に出会ったときに、「違うからイヤ」ではなく、「違うからおもしろい」と感じられる。そんな気持ちを育てていけたら、という願いも込めています。

日本橋の祭り、岡山の桃太郎、大豊町の自然 
—絵から広がる想像力

— 絵本の中で、特に注目してほしい場面はありますか。

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イラストレーターの桝田屋 A助さんが命を吹き込んでくださった、日本橋の神輿や岡山の桃太郎、大豊町のラフティング。ページをめくるたびに、その町の空気や暮らしが伝わってきます。

例えば大豊町のページには、その地域にゆかりのある鳥や魚も、さりげなく描かれています。子どもたちはきっと、「この鳥、ここにもいる!」というふうに、本筋から少し離れたところにも気づいてくれるでしょう。そういう寄り道ができるところも、絵本の楽しいところですよね。

子どもたちは、本当に絵をよく見ています。服装や表情、背景にある小さなものから、どんどん想像を広げていくんです。英語が全部わからなくても、絵や知っている単語を手がかりに、お話を理解しようとします。絵本には、そういう力を引き出す魅力があると思います。

英語が苦手な子も、
まずは絵を楽しむところから

— 家庭や教室では、どのようにこの絵本を楽しむとよいでしょうか。

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まずおすすめしたいのは、最初から英語を正しく読ませようとしないことです。表紙を見て、「ここはどこだと思う?」「この子たちはどこの国の子かな?」と、自由に話してみるところからでいいと思います。それから、音声を流して物語をひとまとまりとして聞いて、「どんなお話だったと思う?」と感想を出し合ってみる。英語がわからなくても、子どもたちは絵や聞き取れた単語を手がかりに、たくさんのことを感じ取ってくれます。

少し慣れてきたら、音声を聞きながら気になったフレーズをまねしてみるのもいいですね。"Hi, I'm ○○." "Come on, follow me!" のような表現は、教科書だけではなかなか出会えない、生きた言葉です。昼休みに "Follow me!" と言ってみたり、給食の時間に "What's this?" "It's Yakisoba! It's yummy!" とやり取りしてみたり。絵本の中の英語を日常に持ち出すと、言葉がぐっと身近になります。

英語を「勉強するもの」としてだけではなく、「誰かに伝えるもの」「誰かと一緒に楽しむもの」として感じてもらえたらうれしいです。

「楽しい」が、英語を続ける力になる

— 先生ご自身は、どのように英語と出会われたのですか。

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英語に心をひかれた最初の記憶は、外国語の歌でした。幼い頃、家に来ていた父の友人が英語やドイツ語の歌を歌ってくれたんです。その響きが日本語とはまったく違っていて、「すてきだな」と感じたのを覚えています。小学校3年生の頃には、父が買ってくれたイギリスのピクチャーディクショナリーに夢中になりました。カラフルな絵を眺めたり、英和辞典を引いたりしながら、言葉の世界が少しずつ広がっていくのが楽しかったですね。

中学生になると、『若草物語(A Little Women)』などの英語の読み物にも挑戦しました。もちろん、わからない単語だらけです。でも、辞書を片手に夏休みいっぱいかけて一冊を読み終えると、「英語で読めた」という手応えがありました。ラジオの基礎英語を聞いたり、海外のペンフレンドと手紙をやり取りしたりしたことも、英語を学ぶ大きな楽しみでした。

あまり「勉強した」という感覚はなくて、とにかく楽しかったという記憶があります。今回の絵本づくりも、お仕事というより、好きなことを形にしている感覚に近いかもしれませんね。

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MESSAGE

インタビューを終えて

温かい笑顔とチャーミングな語り口で、絵本や子どもたちへの愛をたっぷりと語ってくださった佐藤先生。『My Hometown, Your Hometown』は、子どもたちの「知りたい!伝えたい!」という好奇心の扉を開く素晴らしい仕掛けがギュッと詰まった一冊です。

ご家庭での読み聞かせはもちろん、学校や英語教室でのコミュニケーション教材として、ぜひ手にとってみてください!

BOOK INFORMATION

書籍情報

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タイトル
My Hometown, Your Hometown
発行日
2026年7月1日
著者
佐藤 久美子(玉川大学・大学院名誉教授)
桝田屋 A助
英語校正
Steve Lia(玉川大学リベラルアーツ学部教授)
ブックデザイン
前田 茂樹
協力
中央区立常盤小学校、学校法人大森学園つしま幼稚園、吉備津神社、atelier&gallery土と月 香神窯 神明窯、大豊町教育委員会、大豊町立大豊学園、高知県立大学おおとよ探検隊
発行人
福澤 桃子
発行所
株式会社イデア・インスティテュート
印刷所
株式会社大應
価格
書籍版1,100円(税込)、電子版880円(税込)
対象
就学前のお子さまから中学生まで
仕様
28ページ、音声リンク付き